重い体を引きずりながらアルコールの浮遊感だけを頼りに歩き始めてまもなくの頃。どっぷりした夜に浸かって足取りを数えていますが、いずれ闇の中から光を探すような感覚になります。どこを歩いてるんだっけ?
せっせと歩きますが少し感じ始めた高揚感は一体どこから来たのかわかりません。顔を上げて歩くスピードを感じます。緑のネオンとオレンジのネオンの数を数えながら。この道はどこまで続くんだろう?
車のヘッドライトを時より浴びながら、また赤いバックライトを追いかけるように歩きます。高揚感はそのままに、誰かが言った言葉を思い出そうとしてますが誰が何と言ったのか全く思い出せずにいます。歩く歩く。
次第に歩く事が楽しく思えてきました。重力を踵で蹴散らして、つま先で大地から離れようとします。星が見えたような気がしましたが、気のせいかもしれません。 シャッターの降りた商店街。落書きと街路樹。
しばらく歩いた所で、自販機の灯りが頼もしく感じ立ち止まります。疲れと喉の乾きを落ち着ける為に飲み物を買い、口に含んでからまた歩き始めます。 景色が広く見え始めた時、倦怠感が寄り添っていました。
この疲れは歩き疲れた疲労感なのか、または背中にしょっている様々な思いが重荷になっているか、そのどちらもなのか?夜の闇なのか、心の闇なのか? 全部がデタラメに、でも純粋に見えていました。
この道は知っている。確かな感情と見覚えのある安堵感。この夜では僕が王様で 僕の思うまま歩ける。誰も知らないけど、僕は知っている。きっと皆そう思ってる。自分は一番の他人だ。Midnight In A Perfect World!
この道は僕自身に繋がっている。そう分かったら楽しく、でも僅かに切なくなりました。宿命と逸脱。街はあたたかく夜は神秘的だ。真理は薄汚れた重低音。 不規則な規則性。絶望に似た希望。まだまだ歩けそうです。