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ナイジェルの83年作品。表紙の小猿がネタバレになっているのですが、虐待して泣き叫ぶ小猿の声を何百、何千とオーバーダブ。まるで何万匹もの猿が悲鳴をあげているような、酷く醜い響きが世界を壊してゆく。
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ステイプルトンの81年作品。あくまでも噂ですが、昆虫の羽の摩擦音が美しく採集/採取され作品内に鏤められているのですが、コオロギないしはゴキブリという。ダダイズムすら嘲笑った彼の最高傑作。
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NWWのステイプルトン、その妻という根拠無しの事実がついて廻るダイアナのソロ作品。誰もいないこんな田舎町に怪しく蠢く持続音がなんの意味も持たずに虚しく空気にへばりつく。音が死ぬとこんな響きがする。
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テキサスに窓は何千何万とあって、そのすべてに太陽の日差しは届けられているのだろうか。届いていなかったとしたら、その部屋にこの男在り。Jandekの事実上1枚目の78年作品。閉ざされた音楽。
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In Camera
In Cameraミミールやミラーよりも奥深い森に迷い込んでいる。本作のフィールドレコーディングに出口はなくて、不安感を煽るものとしては最適最悪な1枚。孤独は夜よりも音よりも大きく、感情を喰いちぎる響きはむしろ下品でもある。
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オリジナルは81年。ジャケットはベッドで泣く赤ちゃんを母親目線で。が、幻覚調に視覚情報が狂っている。我が子すら抱けない悲痛な音色のシンセサイザーに母親らしきヴォイスがコラージュされている。母性的なあれは皆無。
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爆発的な空虚感。無駄に乾いた響きと無駄な反復がセンスの悪さを感じる貫禄の1枚。スパニッシュテクノロジーはここにきて稼働停止。労働者達の日常がアンビエントから遠く離れた場所で描かれている。
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あれ。僕の作品だ。奇遇だな。コンセプトを持たせずに音の響きのみにフォーカスした作品。世界は基本的に面白いものではないし、日常に置ける生活はいつまでも楽にはならない。だから、耳を澄ますんだ。世界が変わる。