半野喜弘「ヨーロッパの長距離列車でよく聴いた音楽」

秋に入って肌寒い季節になってきました。様々な音楽に浸りながら季節の変わり目を楽しみたいものですね。今回は半野喜弘さんに「ヨーロッパの長距離列車でよく聴いた音楽」というテーマで音楽をセレクトしていただきました。じっくりとこの素晴らしいセレクトを味わっていただければと思います。半野さんは「PROGRESSIVE FOrM showcase 2011」、「PROGRESSIVE FOrM 10th Anniversary 鰻谷sunsui + club STOMP」の両イベントに出演予定です。

半野喜弘
半野喜弘「ヨーロッパの長距離列車でよく聴いた音楽」「Cartora / Cartora」

Cartola
Cartola

以前にスイスに住んでオーケストラの為の作品の作曲をしていた頃、家族のいるパリの自宅とを長距離列車で移動していました。 その時によく聴いていたような気がする音楽。 僕の最愛の歌い手の一人、以前にライブでサンパウロを訪れた際にオーガナイザーにカルトーラが好きだと言ったら、 貴重なインタビュー集のレコードをくれたのを思い出した。

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Caetano Veloso

移動のとき、何故かブラジル音楽かクラシックを聴く事が多いなと気づいた。 カエターノのアルバムの中でも、一番シンプルで美しいアルバム。異国での郷愁みたいなのがあるから、共感するのだろうか。

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新ウィーン楽派管弦楽曲集

カラヤン指揮のベルリンフィルによる新ウィーン楽派の作品集。 この3人の偉大な作曲家から受けた影響は計り知れない、いや受けた影響を咀嚼できないでいる。 無調だ、12音技法だ、セリーだっていうのには興味はないが、響きの美しさと陰影には人生以上の複雑ささえ感じる。 人生の歓びと苦悩をどう描くか、それが問題なんだ。

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Eclairs Sur L'au-Dela Les Offr

メシアンの響きは瞑想的な魅力に満ちている、深淵なる音の重なり。 ニューヨーク・フィルハーモニックから委嘱されたメシアン最後の管弦楽作品。非常に巨大な編成を要する大作で、120人を超える 演奏者が必要。まさにタイトルのように、遠くに閃光がみえるかのような音楽。

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1st Floor

聴いていたかどうか定かではないのだけど、何となくこれが思い出された。 耐久性の弱いクラブミュージックにあって、それを軽々と飛び越える奇妙な普遍性を持ったアーティスト。 不完全さが完全さよりも遥かに高い次元で結実している。無骨な彫刻ののような・・・、そんな感触の音。

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Orfeo Novo

ジスモンティは不思議な音楽家だと思う。高度な思想的音楽論理の中に子供のアンバランスさが顔をだす。 シリアスに浸っていると、突然吹き出してしまう。これは彼が唯一敬愛しているというパスコアールから受け継いだ血なのだろうか。 以前パリでパスコアールのコンサートを見た事があるのだけれど、難しい曲の途中で突然メンバーとコントを始めたのには笑った。 そういうのが本当の知性なんだろう。

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Miltons

ミルトンの作品中で最も好きなアルバム。ミルトン本人も素晴らしいのだけれど、演奏者が最高。 とりわけハービー・ハンコックのピアノの美しさと躍動感は半端じゃない。 何故だろう? 夏の浜辺を思い出す。

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Circus Town

海外で長く暮らすと、無性に日本語の歌が聴きたくなる瞬間がある。日本の音楽には詳しくないのだけれど、その時に必ず聴く2人のアーティスト。山下達郎さんと細野晴臣さん。これは達郎さんのソロ1作目で、自分の音楽の未来へかける情熱のようなものがヒシヒシと伝わってくる。 若いという事が美しいと思わされる貴重な録音。