フュージョンの完璧な対象化。一歩下がって見てみれば違う景色が広がる。真に受けなくたって大丈夫。すべては絵空事、すべては夢うつつ。
とにかく「Till I DIe」と「Surf's Up」を。ブライアン・ウィルソンの深遠に寄り添いながら、統一感バラバラのこの1枚に意識は遠のいていきます。
コズミック・エレクトリック・ソウル。ブンブンうなるベースと重いビートがカッコよすぎます。スピリチャル・ジャズ&ソウルの進化系のような。たどり着くのは宇宙の彼方か。そこから浮世を俯瞰してみる。
いったいいつの時代の音楽なのかわからなくなるような。タイムマシンに乗って逃避行。ポップワールドに惑わされてるうちに元の世界までぐるっとひとめぐり。
はかなくて繊細なのに豊かな世界が広がる。どこか乾いてて突き放すようでもあります。ナイーブかつ軽快。おぼつかない足取りで逃げつく先は、きっとまだ見たことのない場所。
構成も曲も、全くすきの無い完璧な1枚。そして、むせるような濃厚な官能の世界(笑)。時々はこんなとこに逃げ込んでみるのもありかも知れません。
轟音ギターの壁の後ろに、繊細と虚無を抱えて逃げる、みたいな若者たち。美しい旋律とギターアンサンブルが光ります。フィードバック音に身を預ければ"どこでもない"所へトリップ。
佳曲の数々と甘い歌声にとろけて気持ちは彼方へ飛んでいきます。引いてるのにポジティブ。ポップと先鋭と音響の愉悦。うまくかわしていくことの大切さと強靭さ。