ポストクラシカル/エレクトロニカ・ユニットMOTORO FAAMの中心メンバーで、アートユニットmooor、Yui OnoderaとのユニットReshaftなど、00年代から様々なプロジェクトで楽曲制作を手掛けてきたRyuta Mizkamiが2013年から始め、これまでにデジタル・リリースで3作のアルバムを発表したソロ・プロジェクトMulllrのフィジカルでは初となる通算4作目のアルバム。
分断・分裂を繰り返す複雑で鋭いビート、空間に張り巡らせた多種多様なノイズ、不規則に行き交う記号的な電子音などが多彩に散りばめられコラージュのように構築された、緻密で独創的なエレクトロニック・ミュージックに昇華され、アンビエント色の強かったこれまでの作品よりも、本作ではブレイク・コア、インダストリアル、リズミック・ノイズなどのテイストも感じさせる、ビートとノイズを主体にした楽曲を中心に制作されている。
混沌としたエクスペリメンタルなサウンドでありながらも、エモーショナルなグルーヴ感も溢れる、秀逸なバランス感覚を持ってコンセプチュアルな世界が鮮やかに表現された濃密なアルバムに仕上がっている。