アート・テイタムを引き合いにだせばわかるように、ソロ・ピアノは昔から行なわれているフォーマットだけど、長い間、特殊な形態という印象が強かった。それがごく当たり前のものになったのは70年代以降のこと。特に70年代初頭にはチック・コリア、ポール・ブレイ、ダラー・ブランドなど多くのピアニストがソロ・ピアノ作品を録音した。なかでもキース・ジャレットの活躍はめざましく、ソロ・ピアノの世界を確立した一番の功労者といっていい。
そのキースが初めて録音したソロ・ピアノ・アルバムが71年録音の本作。イマジネーションのおもむくまま、自由なスタンスで鍵盤をあやつるキースの演奏は、もはやジャズ・ピアノというせまいジャンルに押しこめてはおけない独特のものだ。懐かしい話になって恐縮だけど、当時キースのソロ・ピアノはジャズか非ジャズか、なんて論争が雑誌で真面目に展開されたほどだ。いかにもキース的なフォーク~ゴスペル・タッチの<1>で、すっかりその世界に引きこまれる。(Amazon.co.jpより)