マイルスの歴史的名作Nefertiti のアイデアを拡大解釈し、それを現代的な音で表すというコンセプト これはとても興味深い挑戦だった。Insect Jazzと彼らが呼ぶ独自のスタイル (乱暴に例えるなら、ヤン・イェリネック+マイルス・デイビス)は有機性と抽象性が血液の中で融合された新しき太古の音楽。 この作品をテーマに南アフリカの新鋭トランペッター、アレックス・ヴァン・ヘルデンとスウェーデン、ストックホルムでSMALLFUNKレーベルを主宰する鍵盤奏者、マグナス・ヨハンセンがケープタウン、そしてストックホルムのスタジオでセッションし完成させた作品が本作。永遠に続くかの様な美しいメロディーの終わりのない反復から生まれる恍惚感、抑制された音色から伝わる張りつめた緊張感、そして気温35度という灼熱のケープタウンにある廃墟の様なスタジオで繰り返されたセッションは気怠い官能的な音色を生み出し、エレクトロニクスとジャズトランペットの新しい関係性を生み出した。もしマイルス・デイヴィスが生きていてヤン・イェリネックとセッションしていたらこの作品の様なミニマル・エレクトロニクスジャズ作品を生みだしていたかもしれない......。常に新しいサウンドを取り入れ挑戦し続けたマイルスのアティテュードを受け継ぐ、新しいジャズとエレクトロニクスの融合がここに結実した。 アーティストが南アフリカとスウェーデンという、全く違った顔を持つ国の生きているといる事も関係しているのだろうか、彼らの音楽には冷ややかでありながら、ジリジリとした熱が感じられる。クリエイティビティの中心であるAlexの創りだすサウンドはとても個性的だ。トラックもトランペットも、抑制されつつも内に秘められたエネルギーが聴くものに真っすぐに伝わってくる・・・生きた音楽、そんな言葉が頭をよぎる。多分、僕が彼らの音楽に魅かれる理由はそんなところにあるのではないかと思う。 ―― 半野喜弘(CIRQUE)
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