みずみずしいデビューアルバムを聴いたならおわかりの通り、レモン・ジェリーにはありきたりで冷めたところなどまったくない。そして、この風変わりなふたり組による2作目のフルアルバムである本作はどこをとっても、高い評価を得たデビュー作『Lemonjelly.ky』に負けず劣らず見事な出来である。遊び心がほぼ無限に広がる世界のなかで、ニック・フラングレンとフレッド・ディーキンは騒がしくも美しいダウンテンポの音楽を作り出し、その音を耳にしたリスナーは思わず出るにやにや笑いをこらえるはめになる。 本作はたぐいまれなアルバムであり、明快でユーモアに満ち、エキサイティングなまでにクールで、何度聴いても飽きがこない。この手の皮肉の利いた音楽は、しばしば退屈で不自然に聞こえることもある(もっと悪いときには病的で威圧的なことさえある)が、本作はまったくだれるところがない。きらめくようなプレイ(軽快なアコースティック・ギター、跳ね回るビート、こぼれ落ちるピアノの音色、英国風ブラスバンドのファンファーレ、それに変なハープまである)に満ちている。 また、気まぐれで偏屈な隠し味がいたるところに潜んでいる(たとえば「Nice Weather for Ducks」は童謡をベースにカントリー・ファンク調に仕上げている)。パーカッシブなスペースジャズ「Return to Patagonia」から、うっとりと眠りに誘うような「Curse of Ka'zar」まで、本作はかすかに光っていると言うより圧倒的に輝いていると言った方がふさわしい。本作が2002年最高のダウンテンポのアルバムかと問われれば、その通りだ、とまず答えるだろう。(Amazon.co.jpより)
SongList
- Elements
- Spacewalk
- Ramblin' Man
- Return To Patagonia
- Nice Weather For Ducks
- Experiment No.6
- Closer
- The Curse Of Ka'zar