複雑系理論の応用による前作「ttm studies 08」とは一転し、自然環境音をベースとした本作。evala自らの手により、都市を俯瞰したマクロな振動から氷が溶解するミクロな振動まで、長期にわたって断続的に採集したフィールド・レコーディング音源を(その一部は本人のブログ「hacking tone」で垣間みることができる)、かつてない手法で緻密に位相変換を繰り返し、自然でも人工でもない「新しい響き」をあざやかに提示してみせている。実空間において採集した音の反射、集音、伝播、共鳴などといった現象を、先鋭テクノロジーと独創的な焦点でもって大胆かつ繊細に加工変形操作を行いながら、立体的で高密度な、生々しく無数の音楽がふるえる音響空間を導きだしている。evalaの鮮烈な聴力と音楽性があらためて全開となった本作は、環境音の写実性を楽音に並走させただけの、あるいは微細振動を拡大しただけの従来のフィールドレコーディング作品群とは明らかに一線を画している。アクースマティック、テクノ/エレクトロニカ、音響派といった先端音楽へ新たなパラダイムを示す、革新的な一枚。(Amazon.co.jpより)
サウンドアーティスト。port主宰、ATAK所属。2004年11月にportを設立。先鋭的な電子音楽作品を発表し、国内外でのパフォーマンスを行う一方、映像媒体や実空間へのサウンドデザインやサウンドプロデュース、最新テクノロジーを用いたインタラクティヴなプロダクトの開発なども多く手掛ける。2006年に発表した自身初のソロアルバム「initial」(port/2006)は、フィールドレコーディングされた音素材の人工的なプロセスによる加工/編集によって作り出された強靭かつ繊細なサウンドが "日本の最前線を担う音響作"と評され大きな話題を呼んだ。また多様なクリエーターを擁したATAKにも所属し、2009年初旬よりヨーロッパ、アジア数カ国から日本にわたる「ATAK NIGHT4」ツアーでは、そのダイナミックなライブパフォーマンスが世界的に高く評価されるほか、アルスエレクトロニカ入賞のサウンド・インスタレーション作品「filmachine」(YCAM/2006),「filmachine in Berlin」(transmediale/2008)での立体音響プログラム、コンサートにおける音とインタラクティブなビジュアルプログラムなども担う。他にも、プログラミング環境Max/MSPのヘビーユーザーとしても知られ、東京大学や東京芸術大学などで講義も行う。フィールドレコーディングをアーカイブしている自身のブログ「hacking tone」は、音景の異なる海外からのアクセスが絶えない。(Amazon.co.jpより
- flowing
- multiplex
- resonance
- parallel
- snap
- bounce
- scrabble
- cracking
- hush
- cave
- ice
- labyrinth
- discoid
- fuzzbox
- untitled