あらゆる情景が頭を駆け巡る濃厚な音空間、そして濡れたサウンドスペケープで溢れる良作だ。 このCDに詰められた電子音響と、繊細ながらも荒々しい生音、その全ての瞬間をエンジョイした。 Gabe Koch(Merckオーナー) サビとキヨのサウンドは、まるで表意文字のように独特であり、リミックスされた後でも彼らの音の世界が水紋のように流れ出して来ている。これは耳で鑑賞するための、進化した新しい映画のようなものだ。 Joshua Kay(Schematic / Phoenecia / Jeswa)

Phaseworksから第二弾となる今作品は、二人の日本人アーティスト、SabiとKiyoのオリジナル楽曲のスプリットを中心に、Richaed Devine、Machine Drum、Kettel、Julien Netoと、4組のリミキサーという体制のものとなっている。 本作『71:36』では、それぞれが3曲の楽曲と2組のリミックスによる2曲を収録している。それぞれのリミキサーを簡単に紹介すると、まずは牧歌的なリミックスを披露しているフランスのJulien Nato、フランスはパリ在住のアーティストでTao名義などでも活躍している。そしてディープなサウンドスケープを披露しているKettelは5枚目の先頃アルバム『Myam James』をリリースしたばかりだが、19歳の頃からシーンの第1線で活躍していた才人で、ここに日本でも大きな人気を誇っている。どちらかと言えば若手のSabiサイドのリミキサーに対して、その筋の大物をフィーチャーしているkiyoサイド。まずはからのリリースで知られる電子音響の才人、リチャード・ディヴァインがリミックスを披露。ひとつの楽曲に数百、数千の音を使用するという噂もあるほど、その偏執狂とも言えそうな微細な音の積み重なりは圧巻で、このリミックスでもそんな彼の特色を遺憾なく発揮したリミックスを披露している。最後は、Sabi、Kiyoともに縁の深い、昨年惜しくも活動休止した老舗の代表アーティスト、MachinDrumをフィーチャー。ノンビートのKiyoの楽曲を大胆にファンキーなエレクトロへと変換している。 さて、現在、エレクトロニカ・シーンに関してたしかに悲観的な見方もあるが、恐らく彼らのような意志と才能を持つアーティスト、そして彼らを支えるのようなレーベル、なによりも今これを読んでいる音楽を愛する人々がいる限り、当たり前のことだが、こういった音楽が無くなることはないし、ブームならずともそのシーンは存在し続ける。このCD、そして前作にあたる『RGB』のような作品は、そんなひとびとのエネルギーを余すところ無く伝える具体的な証拠だと言えるだろう。 (著: remix河村氏ライナーより抜粋)

SongList
  1. Om
  2. Sleepy Emerald vs Ostrich
  3. Om(Jullen Neto Remix)
  4. Howling Out With Tight Neons
  5. Howling Out With Tight Neons (Kettle Remix)
  6. Tones On Tail
  7. Micropsyche
  8. Micropsyche (Richard Devine MicroMacro-Remix)
  9. Bear In .Warm-Noiz (Noor Extended Version)
  10. Noor (Machine Drum Mountain Eye-Beam Remix)