筆者のフェイバリット・アーティストの1人である。「フレディ・ハバード」。本作はシンプルで聴きやすい作品でBGMとしてジャズを聴きたいときなどによく利用している。1人で聴きたいときなどに何度もリピートすればリラックスした気持ちになれる素晴らしい音楽である。
1960年録音のフレディ・ハバードの『Open Sesame』は単なる名盤ではない。歴史が変わる瞬間をとらえた作品なのだ。それまで無名だったこのトランペット奏者は、まだ駆け出しの頃だった。ピアニストのマッコイ・タイナーしかり(彼はこのすぐ後ジョン・コルトレーンとの運命的な出会いを迎える)。実際、このレコーディング時点で一番有名だったのは、ベースのサム・ジョーンズであり、彼がその後キャノンボール・アダレイやオスカー・ピーターソンと競演していったのに対し、ハバードとタイナーはこの作品の後にジャズ界の大物となっていったのである。本来ならテナー・サックスのティナ・ブルックスもそうなるべきであったのだが、この優秀なプレイヤー(今作の「But Beautiful」でのプレイは秀逸)は正当な評価を得ることなく、1974年に42才の若さでひっそりとこの世を去っていった。ハバード作の「Hub's Nub」やブルックス作のタイトル曲2テイク、そして「Gypsy Blue」は素晴らしく、今作のハイライトのひとつ。忘れてならないのは、ドラマーのクリフォード・ジャービス。ブレイキーに心酔していたこの若者と、ルディ・バン・ゲルダーの完璧なエンジニアリングは今作に欠かせない存在。このアルバムを聴けば元気にもなるし、うっとりとした気分にもなる。綺麗なパッケージでの再発は実にうれしい限りだ。(Richard Palmer - Amazon.co.ukより)
SongList
- Open Sesame
- But Beautiful
- Gypsy Blue
- All Or Nothing At All
- One Mint Julep
- Hub's Nub
- Open Sesame (Alternate Take)
- Gypsy Blue (Alternate Take)