スコット・ラファロ&ポール・モチアンを擁するビル・エヴァンス・トリオは画期的だったが、残念なことにその活動期間は短かった。というのも、61年7月にラファロが自動車事故のため25歳の若さで急逝してしまったからだ。本作はラファロが事故死する11日前にヴィレッジ・ヴァンガードで録音されたライヴ盤。この時の演奏は『ワルツ・フォー・デビー』と本作に分散収録されており、どちらもすばらしい内容だ。 選曲的にはスタンダード中心の『ワルツ・フォー・デビー』のほうが親しみやすいが、スコット・ラファロを中心に考えた場合は本作のほうが好適。なぜなら、こちらにはラファロのオリジナル「グローリアズ・ステップ」「ジェイド・ヴィジョンズ」とその別テイクが収録されており、加えてスタンダード曲でもラファロのベース・ソロをたっぷりと聴けるからだ。 エヴァンス・トリオの演奏は、三位一体という言葉で表現されることが多い。それは3者の協調関係が二等辺三角形ではなく、正三角形をなしていたからだ。キース・ジャレットのスタンダーズ・トリオの原点がここにある。(Amazon.co.jpより)