台湾を代表する室内楽アンサンブルCicadaが海をテーマとするニューアルバムをリリースします。Oceanは 、たくさんの工場を背景に、柔らかい湿地やグレートーンの海の上を無数の水鳥の群れが飛ぶ西海岸の風景を描いた「Coastland」、深い青色の海と磯が残る東海岸を描いた『Light Shining Through the Sea』という2つの作品から選曲、大胆なリミックスとリマスタリングが施され、新たな作品として生まれ変わったコンセプト・アルバム。
工業化された悪果を背負い、厳しい汚染を許すこととなった西海岸、狭くて長い縦谷と共に開発されていない豊かな自然と観光発展、環境問題の間のジレンマに苛まれる東海岸。ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ギターによる豊潤なアンサンブルが描くのは、海岸山脈を隔てて二つの異なる表情を見せる台湾の海の物語です。太平洋の海底に群れる魚や潮の流れの力強さをドラマチックに、時に繊細に表出するアンサンブル、他のモダン・クラシカル作品とは一線を画す開放的なミックスは、どこまでも遮ることのない光と海を表現するかのようです。クラシックの荘厳さ、躍動感溢れる演奏に深い叙情性を讃えたCicadaの音楽は、海面にきらめく光、心地よい夜の風、賑やかな青春と自己との対話、海を通した豊かな物語を感じさせてくれるでしょう。