ルイス ナヌークが選ぶ「花鳥風月と宇宙を感じる音楽」

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ルイス ナヌークが選ぶ「花鳥風月と宇宙を感じる音楽」

新作「丘の上のロメロ」をリリースした「ルイス ナヌーク」さんに「花鳥風月と宇宙を感じる音楽」というテーマで音楽を選んでいただきました。アーティストとしてのルーツがわかる素晴らしいセレクトになっています。

ルイス ナヌーク

ルイス ナヌーク

弾き語りのブルース・スタイルで各地でライブ活動を続けていたシンガーソングライター佐立努と、"chihei hatakeyama"としてミニマルドローンな音楽を基調にラップトップとエレキギターによるライブ/リリースを世界的に展開している畠山地平による2人組ユニット。 空気を一変させるような存在感を放つ佐立の歌声と、ディープでアトモスフィリックな電子音を操る畠山のエレクトロニック・アンビエンスが混ざり合い、まったく新しいタイプのサイケデリック・フォーク・サウンドを奏でる。 2010年に1stアルバム『Place』、2012年4月に2ndアルバム『丘の上のロメロ』をFlyrec.からリリース。

花鳥風月と宇宙を感じる音楽

『花鳥風月』とは日本人の美意識の基底をなしている概念で、「うつろい」「無常などのこと。花は咲き、やがて散る。全てのものは移ろいゆくのが本質で同じもの、時は二度とない。音楽も本質的にはそういうものなのかもしれない。それはまた宇宙も同様でビックバン以来広がり続けている。音楽とは不思議なもので、空気の振動を起こす波動であるのだが、なぜそれを心地よく感じるのか、なぜ終止形は終わりを感じるのかさっぱり分からない。今回は分からないなりに最近興味を持った8枚を紹介します。
Day Of Radiance /

Day Of Radiance
Laraaji

Brian EnoのAmbientシリーズの3作目。シリーズ中、唯一イーノのクレジットがない。ダンスのA面とメディテーションB面と別れていて、両サイドとも秀逸だけど、特にダンスサイドの方が恍惚感で勝っているように思う。ダルシマーとチターの響きは金属味を帯びていて、ガムランなどをもっとリズミカルにしてミニマルミュージックに近づけたような感触、永遠と聞いていたくなるような気持ちにさせてくれる。ビックバン後の宇宙の初期状態は水素とヘリウムで満たされたとの事だけど、そういう始まりを感じさせてくれる。

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ルイス ナヌークが選ぶ「花鳥風月と宇宙を感じる音楽」「凪 | 鈴木昭男」


鈴木昭男

丹後半島にて自然の中で生活する鈴木昭男さんと初めて会った時に感じたことは図鑑にでてくる縄文人に似ているということだ。縄文人の方が今より宇宙あるいは自然に近かったのではないか、現代人という存在はもしかしたら、宇宙、自然の摂理から離れていてしまっているのかもしれないと福島の事故などを経て思う。フィールドレコーディングとか即興とかカテゴライズを無効にしてまう音の力がこのアルバムにはあって、自然と人間と音の調和を感じにはいられない、さらに言うと、ここで表現されている音が伝統的な日本の美意識を表したものなのではないか。

Energy Field /

Energy Field
Jana Winderen

ノルウェー出身のJana Winderenの4年に渡るグリーンランド、アイスランドの氷河のクレバスの深部やフィヨルドでのフィールドレコーディングの記録。さらには超音波用の水中マイクロフォンのハイドロフォンを使っての海中での録音が収録されている。当然、空気中と海中では音の伝わり方が違う訳で、興味がつきない。彼女の貴重なライブを観ることができて素晴らしかったのだが、お客さんが30人くらいしかいなかったのが残念。内容はフィールドレコーディング素材のみのドローンで、地響きのような低音が圧倒的だった。

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Semi-Impressionism /

Semi-Impressionism
Tetuzi Akiyama & Toshimaru Nakamura

日本の名門電子音楽レーベル『spekk』の異色作。これを初めて聞いたときは武蔵と小次郎の巌流島対決を思い浮かべてしまった。としまるさんは飄々としていて蕎麦屋の主人のようで、秋山さんは本当にサムライのような雰囲気を持った人だなといつも思う。ギターの録音が特殊なのか、フレーズ毎に定位が替わるミックスになっていて驚いた。

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Sing the Children Over & Sand In My Shoe /

Sing the Children Over & Sand In My Shoe
Kath Bloom & Loren Connors

ローレンコナーズの作品はいつも曲の違いがわからない。永遠と同じ曲を聞かされているようで、でもそれがたまらなく良い。Kath Bloomの歌のバックで不安定なチョーキングと呟きのようなコナーズのコーラスが何故だが妙に叙情的で涙を誘う。不思議なことにこのCDを聞くと太陽の下でウィスキーが飲みたくなってしまう。切なさと静けさが全面にでているが、根源はやはりアメリカの音楽。

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Cage: The Works for Violin 3 - Two4 /

Cage: The Works for Violin 3 - Two4
Irvine Arditti Mayumi Miyata & Stephen Drury

晩年のジョン・ケージが笙演奏家の宮田まゆみのために書いた曲で、笙とヴァイオリンで演奏されている。霞んでいく空気のような、繊細だけど、芯のある音とドローン。部屋のそとの音とも完璧にマッチしていて、メディアに固定された録音物と言えど、環境や時間によって、まだまだ聞こえ方が変わってくるのだなということも実感できた。

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ルイス ナヌークが選ぶ「花鳥風月と宇宙を感じる音楽」「vincent le Masne et Bertrand Porquet | Guitares Derive」

vincent le Masne et Bertrand Porquet
Guitares Derive

オリジナルは仏カルトレーベルShandarkから1967年にリリースされていたギターデュオの傑作。現代音楽系のレーベルなので、ミニマルミュージックの系譜を感じるが外れ方が面白い。二日酔いの午後などに日溜まりの中できいていると無重力状態に陥ってしまったかのような錯覚すら覚える。2本の絡み合うアコースティツクギターが秀逸。

UL8 /

UL8
Mark Fell

SNDのMark FellのEditions Megoからの作品。2000年代初頭のSNDに比べると音の強度が遥かに強力でクリア。音制作の全てのステージで徹底した品質管理のようなものが行われた結果なのだろうか。永遠と繰り返される無意味な電子音が地球上から人間が消えてしまった後の風景を聞いているようで、手塚治虫の『火の鳥』を思い浮かべた。

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