shotahiramaが選ぶ「壊れた世界に響く音が感じられる悪趣味な8枚」

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shotahiramaが選ぶ「壊れた世界に響く音が感じられる悪趣味な8枚」

新作「Nice Doll to Talk」が絶賛発売中のshotahiramaさんに『壊れた世界に響く音』が感じれる悪趣味な8枚」というテーマで音楽を選んでいただきました。

shotahirama

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ニューヨーク出身の音楽家、shotahirama(平間翔太)。中原昌也、evala、Ametsubといった音楽家がコメントを寄せる。畠中実(ICC主任学芸員)による記事「デジタルのダダイスト、パンク以後の電子音楽」をはじめ、VICEマガジンや音楽ライターの三田格などによって多くのメディアで紹介される。Oval、Kangding Ray、Mark Fell等のジャパンツアーに出演。代表作にCDアルバム『post punk』や4枚組CDボックス『Surf』などがある。

「壊れた世界に響く音」が感じられる悪趣味な8枚

美しいものや幸福感に満ちたもの、楽しいものや気持ちの良いものが世界のすべてじゃない、誰にも触れられる事なく病的で悪趣味な事象が沢山起きている。そんな世界の響き。それは僕自身永遠のテーマである『孤独感』や『空虚感』にも激しくリンクしている。
Drowning In a Sea of Bliss /

Drowning In a Sea of Bliss
Nocturnal Emissions

ナイジェルの83年作品。表紙の小猿がネタバレになっているのですが、虐待して泣き叫ぶ小猿の声を何百、何千とオーバーダブ。まるで何万匹もの猿が悲鳴をあげているような、酷く醜い響きが世界を壊してゆく。

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Insect & Individual Silenced /

Insect & Individual Silenced
Silenced

ステイプルトンの81年作品。あくまでも噂ですが、昆虫の羽の摩擦音が美しく採集/採取され作品内に鏤められているのですが、コオロギないしはゴキブリという。ダダイズムすら嘲笑った彼の最高傑作。

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The Lights Are On But No-One's Home /

The Lights Are On But No-One's Home
Diana Rogerson

NWWのステイプルトン、その妻という根拠無しの事実がついて廻るダイアナのソロ作品。誰もいないこんな田舎町に怪しく蠢く持続音がなんの意味も持たずに虚しく空気にへばりつく。音が死ぬとこんな響きがする。

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Ready for the House /

Ready for the House
Jandek

テキサスに窓は何千何万とあって、そのすべてに太陽の日差しは届けられているのだろうか。届いていなかったとしたら、その部屋にこの男在り。Jandekの事実上1枚目の78年作品。閉ざされた音楽。

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n Camera | n Camera

In Camera
In Camera

ミミールやミラーよりも奥深い森に迷い込んでいる。本作のフィールドレコーディングに出口はなくて、不安感を煽るものとしては最適最悪な1枚。孤独は夜よりも音よりも大きく、感情を喰いちぎる響きはむしろ下品でもある。

Bringing Me Up /

Bringing Me Up
Musique Concrete

オリジナルは81年。ジャケットはベッドで泣く赤ちゃんを母親目線で。が、幻覚調に視覚情報が狂っている。我が子すら抱けない悲痛な音色のシンセサイザーに母親らしきヴォイスがコラージュされている。母性的なあれは皆無。

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Compuesto de hierro /

Compuesto de hierro
Esplendor Geometrico

爆発的な空虚感。無駄に乾いた響きと無駄な反復がセンスの悪さを感じる貫禄の1枚。スパニッシュテクノロジーはここにきて稼働停止。労働者達の日常がアンビエントから遠く離れた場所で描かれている。

Nice Doll to Talk /

Nice Doll to Talk
shotahirama

あれ。僕の作品だ。奇遇だな。コンセプトを持たせずに音の響きのみにフォーカスした作品。世界は基本的に面白いものではないし、日常に置ける生活はいつまでも楽にはならない。だから、耳を澄ますんだ。世界が変わる。

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